(No.16) 二枚の皿

 

 中東に伝わる賢い少女のお話です。  その少女のおばあちゃんは台所仕事を手伝っていましたが、陶器のお皿をあやまって落として割ってしまいました。おばあちゃんは自分の不手際に腹を立てましたが、お母さん(実の娘)はそれ以上に腹を立てました。それから自分の幼い娘を呼んで使いに行かせ、割れない木皿を買ってこさせました。するとその少女は二枚の木皿を買って帰って来ました。母親は、「なんで二枚も買ってきたの!」と金切り声を上げました。娘はこう答えました。「一枚はおばあちゃんので、もう一枚は年をとった時のお母さんのよ」。  この母親は、自分には見えていなかった真理を娘から教えられました。自分もまた年老いてゆく存在だということを。  さて、皆さんはこのように考えるかもしれません。この母親が初めからその事に気づいていたら腹を立てなかったに違いないと。しかし、現実はそう甘くはありません。たとえ、自分の不完全さがわかっても、それを受け入れることができない人は、他の人の不完全さを受け入れることができません。自分の失敗を許せない人は他人の失敗も許せません。そして、ありのままの自分を受け入れられないでいる人が多いのです。(皿を落としたおばあさんも、自分の不手際に腹を立てました。)  最近、『自分を愛するために』などという本がはやっていますが、『自分を愛する』とは『自己中心』のことではありません。『自己中心』は、自分のためにいろいろなものを欲しがるのであって、自分自身を愛しているのではありません。他人に対しても同じです。その人のために一生懸命してあげるのと、その人自身を受け入れるのとは違います。前者は『尽くす愛』ですが、後者は『認める愛』です。夫婦関係でも、親子関係でも、この後者の愛を忘れがちです。子供(妻、夫)のために尽くしていても、相手をありのまま受け入れていないということがあるのです。

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