(No.10) 違うからすばらしい

 

 人間関係が不得意という人は、たいてい「自分とタイプの違う奴は苦手だ」と言います。確かに人間に限らず生き物は同類、似た者同士が集まります。雀は雀と、カラスはカラスと一緒に群がって遊びます。異なった種類の鳥が組になって飛んでいる光景など見たことがありません。人間も異なる人種を見ると恐れ、同類だと安心するところがあるかもしれません。  しかし、創造主は人をいろいろにお造りにななりました。男女の性別、血液型、気質の違い、頭の構造も、文系人間、理系人間…。  「ポアンカレの法則」というのがあります。19世紀、フランスで活躍した物理学者アンリ・ポアンカレは、「相異なる人間の存在の意味は、人間がいつも新しいものを体験し、感動して生きるためである」と言いました。すなわち、「生きることの感動や新しいアイデアは、相異なった二つのものの出会いから生まれる」というのです。  私たちは自分と異なった人間に出会ったとき、感動するのではなく、しばしば激怒してしまいます。結婚して新婚生活に最初にやってくる危機は、妻と夫のものの考え方、生活習慣の違いにお互いがイライラしてくることです。「あばたもえくぼ」という月日は過ぎ去り、箸の持ち方から、シャツの脱ぎ方までひとつひとつが気にさわるようになってきます。 「何でこんなに違うんだ!」と相手に腹を立てます。  しかし、違いの中に可能性が隠れているのです。似た者同士が何人集まっても、新しい発想はなかなか出てきません。相異なるものが一緒になったときに新しい発見があります。違いを避けるのではなく、その違いを調和させる努力の中で、よりよいものが生まれてくるのです。

 
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