映画『スーパーマン』で主役を務めた米国映画俳優クリストファー・リーブさんは1995年5月、落馬事故により、全身麻痺の障害を負う身となった。首から上しか動かすことができず、歩くことはおろか、自分の力で呼吸することも満足にできない状態であった。 そんな惨めさの中で、リーブさんはある日、妻のデイナさんに「死なせてくれないか」と言った。 しかし、デイナさんから帰ってきた言葉は「あなたは(たとえどんな体になっても)それでもあなたにかわりはありません」だった。 そのひとことが彼を絶望の淵から救った。彼に生きる希望を与えた。 彼の妻が夫リーブさんに示した愛は、リーブさんが何かできるから愛します、という条件付きの愛ではなく、リーブさんという存在そのものを愛する無条件の愛であった。 彼女は優秀な映画俳優としてのリーブさんの能力を愛していたのではなく、リーブさんそのものを愛していたのである。 『スーパーマン』 リーブは健康や運動能力の点で多くのものを失ったが、それらよりはるかに価値あるものを自分は失ってはいなかったことを発見した。すなわち、自分を無条件で愛しくれるという崇高な愛の存在を身近に初めて知ったのである。 わたしの目には、あなたは高価で尊い。 わたしはあなたを愛している。 (旧約聖書 イザヤ書 43章6節)